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体幹トレーニングと医療。”エクササイズとは医療である”テキサス大学 大山紗貴子博士にインタビュー

2014年08月04日

こんにちはコアコンディショニングリサーチディレクター石塚です。

先日のNATAシンポジウム渡米の際に、テキサス大学サンアントニオ校を訪問しました。

ここでは、2004年にアスレティックトレーナーの資格を取得後、この分野での研究を勢力的に行っている大山紗貴子博士に、コアコンディショニングをお伝えし、インタビューしました。

“Exercise is Medicien” (エクササイズとは医療である!)
最後まで、読むとその真意がわかります!

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【プロフィール】

名前:大山 紗貴子(オオヤマ サキコ)

職場:Univ. of Texas at San Antonio (テキサス大学サンアントニオ校)

2000年6月:オレゴン州立大学 Exercise and Sports Science学部 学士課程卒業

2004年7月:ATC 資格取得

2006年8月:ピッツバーグ大学 Rehabilitation Science 学部 修士課程卒業

2012年8月:ノースキャロライナ大学チャペルヒル校 Human Movement Science 博士課程卒業

2012年8月:テキサス大学サンアントニオ校 Kinesiology, Health, and Nutrition 学部, Assistant Professor

石塚「現在、どのような施設(研究室)で主にどんな研究をおこなっていますか?」

大山「 現在、テキサス大学サンアントニオ校のApplied Biomechanics Research Laboratoryのディレクターとして、大学の生徒を率いて、上肢の傷害予防とリハビリテーションの改善をテーマに研究を行っています。2012年に創設された研究室には、室内外で使用可能な動作解析システム(Vicon)、電磁ゴニオメーター、そしてワイヤレス筋電測定器(?EMGです)が設置されています。これらの器具を使って様々な動きの動作解析を行い傷害との関連性を検証したり、エクササイズの有用性を評価します」

石塚「アスレティックトレーニングの現場ではなく研究を選んだ理由を教えてください」

大山「大学院在学中、研究と水泳部のアスレチックトレーナーとしての現場での仕事を並行してやっていました。正直、両方とも好きだったので、随分迷いましたが、最終的には自分の適正と理想的なライフスタイルを考えた上で研究者の道を選択しました。大学の教員の仕事も現場の仕事も、最終的にアスリートや患者さんの役に立ちたいということを目的としていることに変わりはないと思います。おもしろい文献を読んだり、自分のアイディアに基づいて実験を計画・実行できる教員の仕事につけて、とてもラッキーだなと思っています」

石塚「今後、どのようにアスレティックトレーニング・スポーツ医学に貢献していきたいですか?」

大山「スポーツ選手に限らず、子供から障碍者や年配の方まで、肘、肩、首の痛みのために日常生活やスポーツ活動に制限がかかってしまっている方々のクオリティー・オブ・ライフの改善に少しでも役に立てるような研究をして行きたいです。また数年後には、アスレティックトレーニングのプログラムを設立し、学生の教育にも力を入れて行きたいです」(※クオリティー・オブ・ライフとはある人がどれだけ身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境など、人間らしい生活や自分らしい生活を過ごしているかを指標としているものです)

石塚「コアコンディショニング(ストレッチポールのエクササイズ)を受けてみていかがでしたか? アスレティックトレーニングの分野でどのように活用できるでしょうか?」

大山「10年程前に、一度、知人にストレッチポールのエクササイズを紹介されました。その時に比べて、器具やエクササイズが発展しているのがすごいと思います。実際に使ってみると、確かに骨盤の前傾の軽減、肩挙上動作の改善、そして背中が床に”吸い付けられるような”感覚が出てきました。研究者としては、なぜこのような姿勢の変化がおこるのか、どの位効果は持続するのか、そして長期的な効果が気になります。健康ブームでいろいろな商品が飛び交っていますが、研究によって裏付けされた商品は信頼されます。今後、ストレッチポールを使ったクオリティーの高い研究が行われ、国際学会などで発表されれば、ユーザーの拡大につながると思います」

石塚「日本ではアスレティックトレーナーの制度・立場が確立されていないので、恩恵を受けられる選手が多くはありません。日本のスポーツ選手、愛好家、保護者、指導者にメッセージをお願いします」

大山「American College of Sports Medicine が “Exercise is medicine” (“エクササイズとは医療である”)というコンセプトを首唱していますが、実にその通りだと思います。エクササイズが体のあらゆる器官の機能に有益をもたらす事は明らかになっています。どんな優れた医学的な治療も予防には勝りません。自己それぞれのレベルにあったエクササイズをして、自主的に怪我・病気の予防をしていきたいですね。より多くの人がより良くエクササイズをできるようにサポートをするのがアスレティックトレーナーの仕事だと思います」

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大山博士のように国際学会で活躍されているアスレティックトレーナーも増えています。

今後、コアコンも効果的なケガ・病気の予防の手段として世界中で認められるよう研究も進めていただきたいと思います。

 

 

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