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体幹トレーニングと陸上競技。米国代表チームでの体幹トレーニングとは

2014年06月23日

谷沢さんにコアコンディショニングをお伝えしました

谷沢さんにコアコンディショニングをお伝えしました

谷澤順子さんは、中日ドラゴンズで活躍した谷澤健一さんの娘さんで、
大学までは新体操に取り組んでいました。
その後、アスリートのケアーで役に立ちたいと専念、アメリカへ渡り公認アスレティックトレーナー資格を取得しました。
アメリカへ渡り公認のアスレティックトレーナーの資格を取得し今日に至っています。
テキサス州立大学の時代の恩師(ランソン氏)からの推薦もあり、2004年からアメリカ代表陸上チームのアスレティックトレーナーとして帯同、
現在はアリゾナ州立大でアスレティックトレーナーとして活躍されています。ます。

今回、お話しできるチャンスがありましたので、
ロスからアリゾナまで取材に行きました。

Q. アスレティックトレーナーとして選手を看る際に気をつけていることはどんな事ですか?
A. 特に陸上競技の選手は自分自身の体の変化にすごく敏感です。毎日のトレーニングの中で当然筋肉痛になることもあれば筋肉が張ることもあります。それは、パフォーマンス向上のためにそれぞれが通る道で自然なことです。その中で、どのようにして疲労をいかに最小限に抑えケガに繋げないよう予防できるかが大切だと思っています。
私の方針は、マッサージは基本的に毎日しないことにしています。マッサージをした後は、心的疲労や筋的疲労を取り除く時間も必要だからです。
リハビリ、ウォームアップ、クールダウン、ストレッチ、アイス、レスト(休息)などを上手く利用して体をケアーしていくことが最も効果的だと考えています。
回復力を促すためにも「ストレッチポール」のベーシックセブンが良いのでないでしょうか。筋肉の張りが強い場合は、マッサージなどで緩めた後、ベーシックセブンを活用して筋の痙攣を取り、再度マッサージを施しても良いですね。このような使い方を取り入れてみたいと思います。
その他にも、試合前にマッサージををすると緩みすぎたり、揉み返し(Soreness)で走れなくなる選手も実際いますし、試合前の緊張で筋の痙攣が起きたりすることもあります。そういった時に、このエクササイズでリラクゼーション出来るのではないかと思います。

Q. 現在、アスレティックトレーナーとして大変なことは何でしょうか?
A. 今、陸上部80名の選手を3人のアスレティックトレーナーで看ている状況です。選手一人一人にどう対応していくかが課題であり、大学のレベルではどれだけ多くの選手を看れるかが求められています。
全員に1時間のマッサージはできません。そこで順番待ちしている選手たちにセルフケアの仕方を指導したりしています。
コアコンディショニングにおける、べーシックセブン(ストレッチポールを使ったエクササイズ)は、誰にでもわかりやすく、シンプルなエクササイズなので、どの選手もできると思います。

Q. 今日は「ひめトレ」もお試しいただきました。どのような感想をお持ちになりましたか?
A. 走る動作の基本テクニックで、骨盤の可動域はとても重要だと思っています。そのため骨盤低筋が担う役割は必要になってきます。それに加えて、骨盤がコントロールできないことで、ケガに繋がることもあります。例えば、骨盤のアライメント(身体のねじれや左右の乱れ)がずれていると、ハムストリングの肉離れに繋がります。良くみられるのは骨盤が前傾になり、ハムストリングが引っ張られて、ストレスが掛り続けるとケガに繋がります。
日本人は床に座ったり、しゃがんだりする習慣があるため、骨盤の後傾の可動域が比較的大きいのに比べ、アメリカ人のスプリンターは脊柱前湾症を持つ選手が多くみられ、骨盤の後傾ができずリハビリで常に後傾の動きを教えているのが現況です。
ひめトレと言えば、お尻の下に横置きにして、坐骨を乗せての骨盤後傾エクササイズが良いと思いました。
更に、遠征で何時間も移動すると、骨盤の歪みがひどくなることも多々みられます。そういった時、このひめトレのエクササイズを使いセルフケアしていくのも良いのではと思います。

Q. 谷沢さんはセルフケアの重要性をおっしゃっていますね。
A. 私は子供の頃、父からセルフケアの重要性を教わったのです。父は現役時代から自分で考案したセルフケアをしていました。例えば、木刀を使ったものもあったりして・・・(木刀の反りを利用して背中の筋肉の張りなどを緩める体操ですかね)
そういった日常の様子を目にしていたので、私も自然とセルフケアの重要性を認識していました。アスレティックトレーナーとなった今も、選手にはまずセルフケアを意識して欲しいと思っています。
うちの大学生にも頻繁に「マッサージしてくれ」と言ってくる受身的な選手が多いんですね。選手には「会場に入ってあなたはどうするの?自分でしか何とか出来ないでしょう?」と問いかけます。
陸上競技の試合では、スタジアムの中に入ったら、もう自分だけしか頼れるものはいないんですよ。
誰かにケアしてもらうとかは出来ない。自分でやるしかないんです。
例えば、走り幅跳びだと予選で3回、ファイナルに進めばもう3回跳ぶんですが、1回目・2回目と調子が良くても、3回目で脚が張ったりすることもある。それでも私たちアスレティックトレーナーはどうすることも出来ない。このようなケースは良くあり結果を出せないことに遭遇しますね。
そうであるならば、教えてあげれば良いじゃないか、と思いました。
緊張で筋の痙攣が起きたときどうしたら良いのか? 足が張ってきたらどうしたら良いか? だったらラクロスボールでセルフケアして、自分でコントロールしなさいよ、と話をします。それが次のジャンプの結果に繋がると指導しています。
世界最高レベルのアメリカ代表陸上チームでも選手によって、アスレティックトレーナーに頼る選手と自分でケアできる選手に分かれます。特に、数々の成績を残しているベテランのトップ選手ほど自分で自分の体をケアしています。このような考えができる選手が成功するのだと信じています。

(インタビューここまで)
今日はありがとうございました。ぜひ今後も連絡をとりあって、スポーツ界発展のために活動していければと思います。
石塚の第一回渡米レポートはひとまずここで完結!
大変の多くの出会いがあり、大きなものを得ました。記事にはあらわしていませんが、この他にも多くの皆さんにお会いしました。
各地で歓迎してくださった皆さんに感謝致します。
今回の渡米で、コアコンディショニングがアメリカにも広まっていくことを実感しました。
今後も米国展開を視野に入れて活動してまいります。
ありがとうございました。

まずは事前のモニタリングから

まずは事前のモニタリングから

対角運動

対角運動

羽ばたき運動

羽ばたき運動

とても心地よくリラックスされてました。

とても心地よくリラックスされてました。

石塚利光(NATA-ATC/JCCA-MT/JATI-AATI)

コアコンディショニングリサーチディレクター 石塚利光(NATA-ATC/JCCA-MT/JATI-AATI)

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