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体幹トレーニングの新たな可能性。身体の操作と感覚をつかむ力が向上!

2014年08月20日

テキサス州オーステンから北に車で約30分。
シダー・パークという街の理学療法クリニックで保坂邦彦、通称、クニさんが働いています。
アスレティックトレーナーで理学療法士であるクニさんは、
FAAOMPT(アメリカ徒手理学療法協会認定理学療法師)という資格をもつ日本人第一号です。
クリニックでの仕事を終えたクニさんに
ストレッチポールとひめトレによるコアコンディショニングを紹介してみました。

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名前: 保坂邦彦
職場: Baylor Scott and White Cedar Park outpatient physical therapy
主な資格: MSPT (修士課程理学療法学)/PT(テキサス州理学療法士)/FAAOMPT(アメリカ徒手理学療法協会認定理学療法師)/
NATA(全米アスレチックトレーナーズ協会)公認アスレティックトレーナー(ATC)

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石塚「現在、理学療法クリニックで勤められていますがどのような患者さんが多いですか?」

保坂「85%-90%は整形に関連した症状(腰痛、首、肩、膝、股関節の痛み、手術後のリハビリなど)、その他が加齢による筋力や持続力の低下、中枢神経系の疾患(多発性硬化症や脳梗塞)です。患者の年齢層は40代から60代が最も多く、50%以上を占めてます、次にお年寄りの方が30%-40%で、たまに地元の高校のアスリート達も診ます、後は小さい子供とかですね。」

石塚 「幅広い年齢層を見ているんですね。リハビリやトリートメントにおいて最も大切にしていることは何でしょうか。」

保坂「もちろん一番大切な事はクライアントの求めている結果を出す事ですね。自分の勤めているクリニックの患者さん達の場合、多くは痛みを減らす事になります。ですがFAAOMPTになる為のトレーニングである程度の知識と技術を習得した結果、一番力を入れている事はいかに患者さんの性格や学習スタイルに合わせて、自分をその都度変えていけるかです。やはり痛みは結果であって、原因ではないので。ですから、いかに原因となっている運動機能障害症候群のコンセプトを理解してもらえるか、そして自分が行う手技療法と患者さんの行う運動療法、またADL指導がどう患者さんの疾患を向上させる上で役割を果たすか、そこを理解してもらうのが1番重要ですね。」

石塚 「そうなんですね。患者に合わせて対応を変えて、患者さんと一緒に原因に向き合っていくということですね。」

保坂「理学療法士に成りたての頃はしっかりとした技術と知識さえあれば後はどうにでもなるだろうと思ってたんですが…そんなに甘くはいかなくて…患者さんを治療する事やリハビリをする事=お互いを分かり合う課程なのかなと思い始めてます。極端に言ってしまえば、いかに患者さんに自分の事を好きになってもらえるかですかね…もちろん大前提として理学療法士の技術と知識は持ってなくてはいけません、でもいくら学会や理学療法士達の間で有名で、優れているであろう人であっても患者さん達の前では独りの人間なんですよね、相手に良い印象を持ってもらえなければ患者さんは自分の行っている事、説明している事に関心を示そうとしませんし、分かろうともしないです。学校で自分の嫌いな教科の言い訳ををする時に自分達が一番使うのってやっぱり『あの先生が嫌いだから』ですよね?それは全世界共通ですね。先生が嫌われてしまえば、治療の効果が減ってしまいます…」

石塚「まず、患者さんに気に入ってもらうことが大事ということですね。具体的に行っていることはありますか?」

保坂「一般の整形の外来には、痛みがあって来られるわけですから特に初対面の時は構えてるんですよね、人によっては緊張している人もいますし、内気な人もいる、特に自分の場合は外国人ですからね。時にそれが余計な壁を作る事もあります。なので相手の事を知ろう、分かろうという意図を相手に感じてもらえるように意識しています。徐々に患者さんの事が分かり始めてきたら、そこから、痛みや症状がなぜ起こったのかの説明、手技の仕方や強度、運動療法の仕方や強度、自宅でのエクササイズなど、大切なことを相手に合わせて話をしていきます。言葉だけで説明するのは難しい部分ですが…」

石塚「患者と理学療法士という関係の前に、お互いにわかり合うということからはじめていくんですね。
次に、コアについて聞きたいのですが、コアをどのようにとらえ、どのようにアプローチしていますか?」

保坂「コアに関して自分が得た知識は自分がAAOMPTのfellowshipのトレーニングを受けた多くの理学療法の先生や研究者から学んだ知識と、自分の臨床から得た経験がメインです。自分はコア=脊椎(背骨)+頭蓋骨(頭)の感覚/操作というように捉えています。とても基本的な事ですが、背骨と頭が適切な位置にあれば上肢(腕)、下肢(脚)、そして背骨と頭自身もきちんと機能を果たすんですね。最も頻繁に起こりやすい例では、反り返えった姿勢、つまり、頭が前に突き出ていると、猫背で巻き肩、さらにおなかも前に突き出て、骨盤が後傾し、股関節と膝の過進展が起きてるというパターンですね」

石塚「そうですね。なぜそのような方が多いのでしょうか?」

保坂「頭が前に突き出ているので頚長筋という筋肉の機能の低下、首の後の筋肉の縮みが悪化し頭をしっかりと肩のラインで支えられなくなり、首の前弯がさらに悪化します、またそこから筋のバランスが崩れて前弯が酷くなるといった悪循環になります。また首の前弯は胸椎の後弯を引き起こしそれが巻き肩、大胸筋と小胸筋の縮みと僧帽筋の中部、下部繊維の機能低下を引き起こす事に、この悪循環がさらなる猫背と巻き肩を引き起こす、そして首と胸椎の変化はもちろん腰にも影響を及ぼし、そこから仙腸関節、股関節、膝関節、足首へと影響していきます」

石塚「頭の位置を適切な位置に修正し、保てることがとても大切なんですね」

保坂「体は全て背骨+頭を通じて全て一緒に機能していると自分は考えます。頭から足へというように上から下へ影響していくと説明しましたが、日々の仕事内容、保持している姿勢、元々の体の作りなど、全てを加味した上でフォーカスしていく順序と部位は変えるべきでしょう」

石塚「当初、私のコアコンディショニングを受けたとき、どんな感想でしたか?」

保坂「先ほど説明した通り頭と背骨の位置というのは体の全ての機能にとってとても重要だと自分は考えています、ストレッチポールを使う事によって頭から背骨と全ての部位に一度にアプローチをする事が可能ですよね、また固有受容感覚入力(身体のセンサー機能)の向上が狙えると思います。それは身体の操作と感覚をつかむことの向上にとても役に立つはずです」

石塚「その後、患者さんの運動指導にもコアコンディショニングを取り入れているということですが、反応はどうですか?」

保坂「自分の専門分野ではないのですが、30代の女性で多発性硬化症を発症して6年間の患者さんがいます。その患者さんの一番の課題は体の一つ一つのパーツのコントロールです。まだストレチッポールを使ったエクササイズをしたのは3回だけなのですが、下半身のコントロールは、使い始める前よりも向上している幅は大きいと思います。」

石塚「非常に興味深い話ですね。また経過を教えてください。今日はどうもありがとうございました。」

石塚利光(NATA-ATC/JCCA-MT/JATI-AATI)

コアコンディショニングリサーチディレクター 石塚利光(NATA-ATC/JCCA-MT/JATI-AATI)

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