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早稲田実業小出敦也さんインタビュー|教育現場とアスレティックトレーナー

2016年04月27日

東京都国分寺市にある早稲田実業学校を訪れました。ここには初等部、中等部、高等部合わせて約2500名の生徒が在籍しています。甲子園優勝経験を持つ硬式野球部を始め、数多くの競技が全国大会に出場している名門校です。

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同校には、全国でも珍しくアスレティックトレーナーが2005年より配置されています。今年で3年目となるアスレティックトレーナー、小出敦也さんにインタビューさせていただきました。

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小出敦也ATC

小出さんはアメリカでATC(米国公認アスレティックトレーナー)を取得後、数々の国内外トップアスリートの現場を経て、現在早稲田実業にて活動していらっしゃいます。

 

小出敦也さんインタビュー

 

Q.現在の活動について教えてください。

A.早稲田実業には専任教員として雇用されています。メインは中高生の部活動へのサポートです。うちは中高合わせて2000名ほど、運動部だけでも1400名の生徒がいます。メインはアスレティックトレーナーなので、基本的にはお昼と放課後にトレーナールームに来る選手のケアです。ケガをして来る生徒が多いので、テーピングやアスリハが中心ですが、トレーニングや栄養の相談など、なんでもやります。依頼があればチームのトレーニングを指導することもありますし、土日は試合にも帯同することも多いです。中高合わせて51クラブあるので、当然全ての部活に帯同することは難しいですが、ケガの多いコンタクトスポーツを優先的に帯同しています。

時期によっては熱中症予防や栄養に対する啓蒙として、教室に運動部員を集めて講義をすることもあります。

Q.これまでの経歴を教えてください。

A.アメリカでATCを取得した後は、主にバスケットボールに関わってきました。アメリカのプロ、日本の実業団や大学、代表などトップアスリートがほとんどでした。早稲田実業に赴任して3年目になります。

Q.トップアスリートをずっとサポートしてこられて、中高生世代に関わって気付くことなどはありますか?

A.身体が成長する時期なので、大人ではありえないようなケガが多いですね。大人ではみられないような衝撃による骨折も多く、また脳震盪も多いです。基礎的な体力や動きのコントロールができていないことが原因のケガも多いです。

Q.学校にアスレティックトレーナーがいるというのは全国でもかなりレアですが、中高生にとってのアスレティックトレーナーの必要性をどのようにお考えでしょうか。

A.究極でいうと、「生徒が安全にスポーツに参加できる」というのが最重要課題なので、生死をさまようような心疾患、頭頸部障害、脳震盪、熱中症などの予防や適切な対応をするために、指導者の教育も含めた普及啓蒙をしています。アスレティックトレーナーとしてはその専門家なので、責任を持って取り組んでいます。また、全51クラブに常に私が関われるわけではないので、頸部の事故が起きた際に近くにいるのは先生であることが多いです。指導者に対して、ガイドラインを作成して予防や対応について教えています。

Q.中高生の選手や、保護者の方もこのサイトを見るのですが、何かアドバイスがありましたらお願いします。

A.世の中には情報がたくさん溢れています。どれも間違いではないと思うのですが、例えばコアトレーニングにしてもプランクのようなエクササイズが紹介されていることが多い中、正しいフォーム、意識で行わないと効果は薄いです。また日常生活の姿勢がしっかりできていないと、いくらコアトレーニングをしてもなかなか競技力にはつながらないと思います。コアトレーニングでやるような姿勢を維持したままスポーツをしているか、日常生活を送っているかが非常に大切になります。ですので、正しい姿勢、パワーポジションなど、基礎となる土台の上にパフォーマンスがあると思いますので、そういったところを大事にしてもらいたいですね。

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次から次へとテーピング希望者が。すぐに症状をヒアリングし、適切な処置を施す。生徒からは「テーピングの神ですよ!」の声。

 

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「これできるか?」と、生徒同士の競争心もかきたてる。

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生徒は各自セルフトレーニングを行う

 

まとめ

 

多い時には30名がトレーナールームに訪れ、さらにチームの指導、試合帯同、指導者への教育など、非常に多忙な活動をされている小出さん。ケアや会話の中に、”教える”と言う要素が入っていることが印象的でした。なぜ痛みが起こるのか、どの筋肉が弱いことが原因なのかをしっかりと伝え、生徒が自分でコンディショニングできるよう教育されていました。中高生の年代からこのような知識を持ってスポーツに取り組むことは、その後の競技人生にとても良い影響を及ぼすのではないかと思います。このような環境がさらに増えると、より日本のスポーツが活性化すると感じました。

早稲田大学系属 早稲田実業学校

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過去の栄光が数多く並べられていました

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王貞治さんの石碑です

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